・・・・・・・・・・・誘惑の試着室<3>・・・・・・
巴絵は店主が差し出すティッシュとパンティを受け取って、案内された試着室に入った。
入ってみると、そこはその店の小ぢんまりした外見からは想像できないほど広く、そして清潔なものだった。
よくデパートなどで見かけるカーテンで仕切っただけの試着室とは違い
(巴絵はその類しか知らなかった)木製の頑丈そうなドアがついており、鍵もかかるようになっている。
天井の噴出しグチからは温かい空気が流れ、静かな音楽もかすかに聞こえている。
入り口のドアと向かいの壁には巨大な姿見鏡、右の壁にはハンガーがかかったノブ、
そして左の壁には可愛いラタンの脱衣箱と小さな椅子が用意してある。
脱衣箱にはノン・アルコールタイプのウェットティッシュまである念の入れようだ。
六畳分くらいはありそうな床は半分が絨毯敷きになっていて靴を脱いで上がる作りだが、
なぜかほとんど段差のない小上がりになっていた。
巴絵は小上がりに靴を脱いであがった。渡されたものを脱衣箱におき、ジャケットをハンガーにかけながら
「やっぱりこのまま直に試着するのは悪いなぁ・・・」
と、ぼんやり考えていたが、ふと脱衣箱のウェットティッシュに目が止まり、
その用途に思い当たって急に赤面した。
それはあきらかに、パンティを試着するために用意されていた。
巴絵は直接の試着を店主から許されたが、
そうでない人たちはこのティッシュで局部をぬぐうのに違いなかった。
冷たい、と思って取り上げたウェットティッシュは、
保温性のある装置の上におかれていたため、ほんのり温かかった。
「東京のお店って、ここまでやるんだ!」
巴絵は的はずれな感激を覚えながら、ゆっくりスカートを落とし、
パンティストッキングをスルスルと丸めて脱いだ。
パンティを脱ごうとして巴絵は違和感を感じた。それは巴絵の股間に由来するものだった。
さきほどからの店主との会話でもたらされたものか、巴絵の場なれない緊張がもたらしたものか、
それは巴絵が今日出かけるときに着けてきた、持っている中でいちばん大人っぽい
(と巴絵は思いこんでいた)パンティのクロッチ部の外まで現れた湿り気だった。
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