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巴絵の甘美な夜



・・・・・・・・・・・誘惑の試着室<2>・・・・・・・・・・・

「では今日は何をお求めに?」と店主に言われて巴絵はやや顔を染めながら

「あの、パ、パンツとブラジャーを・・・・・」と答えた。

とたんに店主は笑顔をさらに深めて

「あのね、女性のアンディーズ・・・下ばきは、パンツと呼ばないのよ。

パンツというのはズボンのことね。今普通にはショーツというけれど、私はパンティと言うの。

ブラジャーも、ブラ、とだけ言ったら通じるのよ」

こう言われて巴絵は真っ赤になって

「あの、あたし田舎ものなんで・・・・」

と口篭もった。うつむきかげんの巴絵には確認できなかったろうが、

このとき店主の大きな瞳は、それまでと違う光を放って巴絵を見つめていた。


その瞳の光を隠すように笑顔になった店主はさらに

「田舎もの、というのは心のことよ。地方出身だって、あなたは田舎ものなんかじゃないわ。

私の店では田舎ものは買い物できないのよ」

と巴絵の羞恥をぬぐうようなことを言った。


「その様子では私があなたにピッタリのを見つくろってさしあげたほうがよろしいかしらね」

店主はショーツのディスプレイの棚から1枚とりあげて巴絵の前に広げてみせた。

それは純白の、合成繊維でできているらしい、やや光沢のあるハイレグのショーツだった。

まさにそれは巴絵が思い描いていた通りの(巴絵にとっては)大人っぽい下着だった。

「さぁ試着してごらんなさい」

「え?試着?・・・・でもこれ・・・・あの、パ、いえショーツでしょう?」

いぶかしげな巴絵に店主は

「あなたのような方なら試着させてあげても大丈夫だと思うわ。

でもね、誰にでも試着OKとは言っていないのよ。それでも気になるようなら、これね」

店主は皮でできたケースに入ったティッシュのポケットパックを差し出しながら言った。


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